社員さんに主体的に動いてほしければ…

10/9,10の二日間に渡って中小企業家同友会主催の障害者問題全国交流会in青森(障全交)に参加してきました。同友会は障害者雇用を積極的に進めようという委員会のある経済団体としては奇特な存在です。私は第三分科会の座長を務めました。第三分科会の報告者は大尊敬する株式会社HSAの田中社長の報告でした。

テーマは「真の人間尊重経営の社会へ~多様な人材を生かす」です。

障全交では障害者雇用とか障害者の方が地域で輝くといった類の報告が多いのですが、第三分科会で珍しくはそういった話は一切ありませんでした。当然HSAでも障害者雇用をしているのですが、田中社長の言う多様な人材はそういった表面的な事を超越して、全人類に対しての人間尊重です。視座が違う!何を言ってるのかよくわからないと思いますが、その考えをベースにして、社内に様々な仕組みを構築し成果を上げています。
色々な気づきがあったのですが、私の最大の気づきは「社員さんに主体的に動いてほしければ仕組みを作れ」ということでした。それも全員が納得した仕組みにならないと意味がないので、全員で考えながら仕組みを作ります。戻ったら、まず、仕組み作りをちゃんとやっていきたい、ということを社内に報告します。
お酒、魚も大変美味しく、とても充実した2日間でした。もっと居たかったぁ。(*^^*)
留守中も業務を守ってくれていた社員さんに感謝です。(__)

ガイドブック表紙

第三分科会

左から室長の附田さん、報告者の田中さん、山本

二日目全体会の様子

2日目の座長まとめの発表

■ 第三分科会座長のまとめ

障害者雇用とか障害者の方を地域で生かすとか、そういった話は一切出てきませんでした。
報告内容をざっくり紹介します。
・サラリーマン時代の後輩からの問題提起をきっかけに会社設立を決意し、社会学の勉強を始め、「地域密着型企業」にしよう決め事業ドメインの選択をします。
・会社は社会の縮図、社会には色々な人がいるわけなので、会社にもいろいろな人がいて当然 ⇒ 先着順採用という仕組みを運用
・その後次々とトラブルに見舞われるわけですが、トラブルこそ仕組みづくりの最大のチャンスということで前向きにトラブルに対応していき、様々な仕組みが創り上げられていきます。
・漸く最近になって「HSAに入ると人間力が育つという声がチラホラ聞かれるようになった」21年かかった
・最後に「世界中の“働いている人たち”に感謝とお礼を言いたいと思います。ありがとうございます。」で締めくくられました。

私が印象に残った点を三つほどお話します。

■地域愛
「例えばご老人が水道工事で法外が工事費を請求された。小田原でそんなことがあってはならぬ。だからこの事業を始めた」
損得を超越した地域愛

■自主・民主、という言葉がふんだんに出てきました。
HSAは合議制です。その元での民主的な運営をしたければ各個人が主体的に動く状態、すなわち自主を育め「自主なくして民主なし、自主なくして成長なし」と表現されていました。
「社員さんに主体的に動いてほしければ、仕組みを作れと」つまり「仕組みなくして自主はなし」という風に私に聞こえました

■多様な人材を生かす
会社設立当初から多様な人材を生かして組織化するということを強く意識されていました。多様な人材というと、性別や国籍とか年齢とかそういった表面的な違いを連想しがちですが、優秀、優秀じゃないという違いや、キャリアアップしたい、したくない違いも当然あって、そんな表面上ではわからない違いを持った、多様な人材がくるように先着順採用という仕組みを取り入れた。
ある意味、採用方法としては究極な仕組みじゃないかなと思っております。
多様な人材への想いの一つが、組織に嫌いな人は当然います。その中でうまくやっていける力を身に付けてください。社員さんの成長にとことん寄り添う田中社長の想いが垣間見えました。

経営者としてあるいは人としての在り方と、組織の仕組みづくり、これの追及が結果として、二宮尊徳さんの言葉をきっかけとした「一人一人が成長できる会社『社会学校』」として成就していっているのではないかろうか。

以上